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DTPソフト雑感

 うちの会社は、作家のマネージメントをしつつ、ほかの仕事もいろいろとやっている。いちばんウェイトが大きいのは編集プロダクションっぽい仕事。書籍や雑誌に載せる図版を描いたり、対談などのテープから原稿をおこして構成したり、DTPソフトを使って書籍の版下データを作成したりしている。
 最後に挙げたDTP作業には、adobe社のInDesignというソフトを使っているのだが、これがけっこうくせ者なのだ。

 InDesignが登場するまえ、業界の標準とされていたDTPソフトは、QuarkXPressというソフトだった。非常に優秀なソフトだったのだが、日本語組版に難があった。もともと英語などの欧文を扱うように開発されたソフトなので、それも仕方がないのだが、やはり日本で商売をする以上、日本のユーザーの使い勝手がよいようにローカライズするのも大切なことではないのかな、と思っていた。
 結局、さまざまなサードパーティーから、プラグインというかたちでツールが供給され、ユーザーは自らの好みと必要に応じてプラグインをセットして日本語組版を行っていたのだ。

 そこに登場したのがAdobe社のInDesign。これももともとは欧文環境での使用を前提に開発されたソフトだったのだが、日本での発売を前に徹底的なローカライズを行った。その結果、いままでの業界標準ソフト、QuarkXPressとは比較にならないほど日本語に親和性の高いソフトとなって上陸したのだ。
 もちろん、登場した当初は動作も不安定だったし、要求するハードウェアのスペックもかなり高い状態だったので、最初から順風満帆とは言えなかったが、その使い勝手の良さは本物だった。私の周囲でも、一度でもInDesignを使った人は、みなQuarkXPressからの乗換えを検討したくらいだった。(実際には、ワークフローの問題もあって、全員が乗り換えたとは言えないが)

 その後、InDesignは2回のメジャー・バージョンアップ、数回のマイナー・バージョンアップを経て、さらに実用性を増していった。それにつれ、いままでQuarkXPressで作業をしていた編集部でも「うちもInDesignに乗り換えましたよ」という声が聞こえるようになってきた。

 で、大きな出来事が起こる。
 Adobe社は、自社の主力商品であるPhotoshopのメジャー・バージョンアップを契機に、自社製品のすべてを有機的に連携させる方針を打ち出した。これが、いわゆるCS(クリエィティブ・スイーツ)バージョンアップというやつで、PhotoshopはPhotoshopVer.8ではなく、Photoshop CSに、InDesignは3.0ではなくInDesign CSになった。
 問題は、このInDesign CSだ。
 たしかに機能は増えたし、使い勝手も良くなったという気はする。若干だが、動作速度(これは発売当初からInDesignの泣き所とされていた)も改善されていたと思う。だが。
 InDesign CSで作成したファイルは、過去のバージョンでのInDesignでは開けないのだ。ま、これは仕方がないにせよ、せめて過去のバージョンでも開ける形式で保存するくらい、考えてくれても良かったのではないか。
 事実、同じようにCSバージョンアップを果たしたIllustratorは、CSバージョンでも、過去の形式で読めるファイルへの書き出しをサポートしているのだ。

 印刷所などは、ようやくInDesignに対応しはじめたところも増えてきたなぁ、と感じられる状態で、いきなり「はい、いままでのバージョンのファイルは読めませんから」ということでは、あらたな設備投資を強いるだけのことになろう。
 業界標準のDTPソフト、QuarkXPressに挑んだInDesignを、なんとなく応援していた気持ちがあっただけに、このようなユーザー無視の姿勢が寂しく感じられるのだった。

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コメント

>  事実、同じようにCSバージョンアップを
> 果たしたIllustratorは、CSバージョンで
> も、過去の形式で読めるファイルへの書き
> 出しをサポートしているのだ。

 うーむ。アレはサポートとは言えないレベルなんだけどね。
 たしかにファイルは吐けるんだけど、文字組関係がついて来れないため、文字ブロックを1文字2文字程度にバラバラに分割して、それでも上手く行かなさそうな時は、勝手にアウトラインまで取ってしまう。ただ印刷するだけならこれでも役に立つんだけど、編集という事が完璧に出来なくなるんだよ。「レガシー形式で保存」っちゅう奴は。
 『一応、形式としては旧い形式で吐き出せるるけど、その先で編集は出来ない』と思った方が良い。現状ではね。

投稿: 神北恵太 | 2004年4月20日 12時38分

神北さん、ども。
なるほどね。「一応は読める」というやつですか。でも、一応でも読めるんだから、まだマシでしょう。InDesignの場合は、まったく読めないんだから。
Adobe社が、InDesign CSで作ったデータを2.0で読めるようにするプラグインでも作ってくれるといいんだけどなあ。

投稿: 安達裕章 | 2004年4月20日 13時58分

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