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ペンネーム考

 先日行われた、ローカル・リフレッシュ・コンベンションのメイン企画でのこと。ゲストとして招かれた赤城毅氏へのインタビューのなかで、ペンネームの話になった。赤城氏のペンネームは、別に山の名前からとったわけでも、旧帝国海軍の空母の名前からとったわけでもなく、デビュー当時、荒巻義雄先生につけて頂いたものなのだそうだ。荒巻先生は、独自の姓名判断理論をお持ちとのことで、よい画数を選んで下さったとのこと。

 考えてみれば、ペンネームというのは不思議なものだ。親からもらった本名に代えて、自ら選んだ名前で仕事をする、というのは、どんな気持ちなのだろう。親に向かって「なんでこんな名前にしたんだ」と文句を言ったことのない人はいないと思うのだが、ペンネームの場合は誰に文句を言うことも出来ない。もちろん、自分の気に入った名前にすればいいわけなので、本人が不満を抱く要素などありはしないのだが。

 不満を抱くのは、読まされる読者のほうにあることが多い。「これ、どうやって読むんだよ」くらいならまだしも、「この名前、ちょっと凝りすぎてはいないかい?」「この程度の作品で、このペンネームじゃあ、まったく名前負けしているよなあ」などなど、まさに言いたい放題である。
 だいたいが名前というものは、自分が読むよりも他人が読むほうが多いものなので、相手が読みやすく、覚えやすいのが一番なのだろう。(変則技として、読みにくいぶん、一度覚えたら忘れないという手もあるが、これは高等テクニックだろう)

 最近は減ったように思えるが、若い作家のなかには「これはさすがにいかがなものか」と思えるペンネームをつける人がいる。このペンネームで一生やっていくつもりはないのだろうから、別に他人が心配する必要もないのだけど。

 そういえば、先日、田中さんが講談社ノベルズの新刊を手に、「ぼく、これ苦手なんだよなあ」と文句を言っている。見れば「新伝綺小説」として話題になった『空の境界』。たしかに癖のある話だしなあ、と思ってよくよく聞いてみれば、作品の内容ではなく、作者のペンネームのことだった。
 「奈須きのこ」氏。うーん、茄子もキノコも苦手な食べ物でしたねえ。

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