ライトノベル完全読本
うちの会社でマネージメントをしている作家の書く小説は、若い人を主な読者対象として書かれているものが多い。もちろん、この「若い人」のなかには「気が若い人」も含まれるわけだから、けっこうな数の読者を相手に勝負していることになる。
少年少女向きの文学作品群というと、いわゆるジュブナイル小説といわれるものがあったわけだが、二〇年ほど前だろうか、このあたりの年齢層を狙ってアニメやマンガなどと連携を取りつつ小説の世界観を広げていくという新しいムーブメントが起こった。
これを仕掛けたのは、当時の角川書店社長だった(現在は、角川春樹事務所の特別顧問を務められている)角川春樹氏だと思うのだが、ともかく当時は凄まじいほどの物量(もちろん、質も伴っていたが)で、世間の少年少女を虜にしたのだった。私自身は、角川書店が大攻勢をかける前からこのジャンルを築いていた老舗、ソノラマ文庫でさきに洗礼を済ませていたのだが、それでも角川の繰り出すきらびやかなラインナップには目を奪われた。まさに本読み少年(当時はもう青年だったか)の喜びを感じたのだ。
もっとも、その物量を確保する必然として、ラインナップは次第に玉石混淆となり、限られた小遣いのなかで満足のいく本を探し出す「選球眼」も養われることになったのだが。
そんなコトを考えつつ読んだ本が、このライトノベル完全読本。
当時の出来事から最近の売れ筋ライトノベルまで、ずいぶん勉強になる本だった。
こうしてみると、おいらもトシをとったもんだなあ。
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