台湾(1日目)
今回の台湾出張の目的は、伝説のミステリ雑誌「幻影城」の元編集長、島崎博先生にお会いすることと、芦辺さんの著作『紅楼夢の殺人』が台湾で翻訳出版されることが決まったので、その出版社にご挨拶に行くこと、の二つ。
「幻影城」と言えば、田中さんの作家生活は、ここの新人賞を受賞したことで始まったのだ。まさに田中芳樹の生みの親の一人に会いに行く旅だったとも言えるわけ。
朝6時13分に渋谷を出る電車、ということで、寝過ごさないか心配だったのだけど、子供の頃からこういうイベントがあると時間通りに起きられる。今回も、念のために掛けておいた目覚まし時計が鳴る直前に、自然に目が覚めた。
芦辺さんは成田空港近くのホテルに前夜から泊まっていたので、携帯電話で連絡を取り合って無事に合流。朝っぱらだというのに、成田空港のコンコースは人がいっぱい。みんな元気だね。
台北の玄関口、中正国際空港の出口を出たところで、島崎先生と、遠流出版の余デスクがお出迎え。この遠流出版というところが、来春、『紅楼夢の殺人』を出版してくれるところなのだ。芦辺さんと島崎先生は初対面のハズなんだけど、一発でお互いの姿を認めたところは、やはり「同じ人種」としての感覚なんだろうか。台北市内に向かうタクシーの車内から、すでにミステリ談義が始まっていたしなあ。
ホテルにチェックインをしたあと、一度、会社に戻るという余デスクを見送って、私たち3人はホテルのラウンジで歓談。「幻影城」時代のお話から、現在の台湾ミステリ事情まで、話題は尽きるところを知らず。ふと気付くと2時間以上が経っていた。
戻られた余デスクの案内で、遠流出版の本社を訪問。
台湾の出版社は、たいてい本社ビル内に「販売部」という書店形式の直販コーナーを持っているということ。ここ遠流出版でも、自社出版物がずらりと並んでいる、まさに書店といった感じのフロアがあった。
スタッフの皆さんが「気に入った本があったら、何冊でも持っていってくださいね」と言ってくれたのには感激。というか、本好きの人間にとって、これほど甘美なセリフはないだろうよ。
悲しいかな、ここに置いてあるのはすべて中国語版。欲に目がくらんでトランク一杯の本を貰ってきたとしても、結局のところ読むことは出来ない。うーん、残念だ(笑)。
驚いたのは、編集部内がきれいに整頓されていること。東京の出版社で、これほど整然としたところは見たことがないぞ。もちろん、うちの会社も誉められたモンじゃないし。私の机の上など、いつも「爆撃を食らった後」のようだし。
これは見習わねばなあ。
今回、私たちを案内してくださった、遠流出版の皆さん。いろいろとお世話になりました。
ひとしきり歓談したあと、「店を予約してありますので、夕食でもご一緒に」とお誘いを受ける。
「欣葉」という台湾料理の名店で、日本で買ったガイドブックにも大きく取り上げられているお店。いろいろと珍しい食べ物が出てきて、すっかり満足、満腹。
島崎先生からは、台湾碑酒(台湾ビール)についてレクチャーを受けた。なんでも、台湾ビールには「金印」と「無印」があるということ。この二つは、製造工程は同じながらも、金印のほうは冷蔵倉庫に保管され、流通経路でもきちんとした温度管理がなされているそうだ。で、無印はいっさいその手の気遣いはないので、多少高くても金印を飲んだほうが美味しい、とのこと。なるほどねえ。
最後に出てきた「杏仁豆腐」は、この店の名物ということだけあって、初めて食べる食感だった。なんともモチモチしていて、例えてえば「生麩」を食べている感じ。でも、生麩より歯ごたえがあって、かつ、香りが素晴らしく良い。うーん、さすが台湾。
すっかりご馳走になったあと、島崎先生とはここでお別れ。
遠流出版の女性編集者に連れられて、芦辺さんと私は「いま台北でもっとも元気の良い書店」といわれる、誠品書店に行く。なんとここは24時間営業の書店なんだそうだ。私たちが着いたのは、午後9時半を過ぎていたのだけど、店内は若い人たちでいっぱい。
聞けば、なかには女の子をナンパしに来る連中もいるそうで。
うーん、本屋でナンパ。台湾の青少年はなかなかセンスがいいですなあ(笑)。
書店で、私は個人的に収集している「外国人が書いた日本料理の本」を2冊、ゲットする。いやはや、今回もなかなか面白いネタが手に入りましたよぉ(笑)。私の見たこともない「日本の人気料理」(笑)が満載。今度の休日にでも試しに作ってみようっと。
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