アメリカ取材旅行3日目
朝食を食べるのに、朝の混雑する時間は避けた方が賢明ということが判ったので、午前7時にロビー集合。さすがにすいている。
そろそろ胃が大きくなってきたのか、これくらいの量の朝食を平気で平らげてしまう。これが罠なんだよなあ。
腹いっぱいになったところで行動開始。芦辺さんも、すっかり地下鉄での移動に慣れた様子。
しかし、慣れたときほど危ないと、昔の人はよく言ったモノで、これがあとでエライことを呼び起こすとは、神ならぬ身の我々は知るよしもなかったのである。
スミソニアン航空宇宙博物館の前から、シャトルバスで40分弱。スティーブン・F・ウドバー・ハジー・センターに到着。
いきなり、SR-71ブラックバードの展示に度肝を抜かれる。昨年10月末のアメリカ飛行機旅行で、SR-71は見ていたハズなのだけど、やはり屋内に入っていると大きさの感覚が狂う。
ちなみに、芦辺さんと比較すると、こんな感じ。やっぱりでかいよ。
展示棟のいちばん端っこに、コンコルドが入っている。この写真では判らないけど、胴体は非常に細い。いちど、ニューヨークのイントレピッド博物館でコンコルドの内部を見たのだけど、本当にスペースの余裕がない感じだった。多少は窮屈でも、すぐに着いちゃうから我慢してよ、ということなのだろうか。
旧日本軍機の展示も充実している。
これは、川西「紫電」21型。いわゆる「紫電改」だ。もとは水上飛行機の「強風」を陸上化し、それをさらに低翼にしたもの。特徴ある4枚プロペラがかっこいい。
で、まさかここにあるとは思わなかったのが「晴嵐」。
潜水空母とも言える伊-400潜に搭載して、パナマ運河を奇襲攻撃するために設計された飛行機。史実では、ウルシー環礁を攻撃する途中で終戦になっているため、実戦には参加していない。ある意味、日本ならではの発想で作られた飛行機だ。
これは特攻機の「桜花」。いわゆる「桜花」はロケット機なのだけど、この「桜花22型」は、ターボジェットエンジンを搭載したタイプ。
これも珍しい展示物だ。
これが夜間戦闘機「月光」。胴体上面、ちょうどコクピットのすぐ後ろに、斜め上向きに20ミリ機関砲を搭載し、B-29の腹のしたに潜り込んで攻撃を加えた。
同じく斜め上向きに37ミリ機関砲を搭載した「屠龍」。残念ながら、胴体のみの展示。スペース的に仕方がないのかなあ。惜しいなあ。
で、これが広島に原子爆弾を投下した「エノラ・ゲイ」。ここで展示をするにあたって、広島・長崎の被爆者を中心とした団体と、アメリカの退役軍人を中心とした団体のあいだで、かなり激しい論議が交わされたようだ。やはり、目の前で見ると、日本人の一人として複雑な感情を抱いてしまう。
P-40ウォーホークなど、飛行機マニアだったら誰でも知っている機体がずらり。しかも、レストアの仕事っぷりが素晴らしい。屋内展示ということもあって、状態は素晴らしく良いものに保たれている。こういうところはアメリカってやっぱり凄いよなぁ。貴重な二式大艇を雨ざらしにしてしまう日本とは大違いだ。
当然、第二次大戦後の機体もたくさん展示されている。
なかでも珍品なのは、X35B。STOVL(短距離離陸垂直着陸)機。これが採用されたら、ずいぶんと面白いことになったハズなんだけどなあ。
ちょっと入ったところには、スペースシャトルのオービターの滑空実験モデル、「エンタープライズ号」があった。
これ、もともとは別の名前になるはずだったのに、スタートレックのファンが改名運動をして、この名前にしたんだよね。
午前中いっぱい飛行機を見倒して、ようやく昼食。
といっても、ここにはたいしたレストランは入ってない。だからといって、またマクドナルドというのは、どうかと思うぞ。>自分
午後1時のバスで、モールにあるスミソニアン航空宇宙博物館に帰還。着いたのは2時過ぎだったかな。
ここでひとまず解散として、私はナショナル・ギャラリーにフェルメールを見に行く。
ナショナル・ギャラリーには、「赤い帽子の少女」「はかりを持つ女」「フルートを持つ少女」「手紙を書く少女」の4点が収蔵されている。このうち、「フルートを持つ少女」に限っては、当初、フェルメールの筆ではないのでは、という声もあったようだが、現在では、ほぼ間違いなくフェルメールの作品だと考えられているよう。
ただ、フェルメールの絵を探すのには苦労した。いろいろと探したのだが、ドイツ作家のなかには見あたらず。結局、博物館の人に聞いてみたのだけど、なんと地下に飾られていた。理由は不明。
この写真を撮影するにあたり、撮ってもいいか、ちかくにいた警備の人に聞いてみた。すると、特に注意書きがない限りは、フラッシュを使わない、三脚を使わない、商業的用途に使わない、の3点さえ守ればOK。とのこと。もっとも、どんなにうまく撮影をしたとしても、本物の魅力を万分の一も伝えることはできないのだけど。
予想にたがわず、フェルメールの4点は素晴らしかったのだけど、今回、強烈な印象を受けたのはモネ。
ことに、「パラソルと女性-モネ婦人と息子」は、油絵なのに、光が眩しくて目を細めてしまう感じ。光の芸術とは、かくあることかと感動した。絵のまえに置かれたソファに座って、30分以上も見続けていた。NYCのメトロポリタン美術館もそうだったのだが、こちらの美術館は、絵の前に柵など無粋なものは置かれていないし、非常にゆったりと作られているので、気が済むまで絵の前にいることができる。それになんといっても入場料が安い。っていうか、このナショナル・ギャラリーは入場無料だよ。うむむ。
ほかにも、セザンヌやルノアール、レンブラントなど、名だたる画家の名作を堪能し、ややもすると知恵熱が出そうになって、美術館をあとにする。
見れば、オベリスクが低い雲のなかに頭を突っ込んでいるではないか。うむむ。昨日とは一転して天気が悪い。
地下鉄でホテルに戻り、一休みして食事に行く。今日の夕食は、その名も「寿司太郎」という名の寿司屋さん。
単独行動になってからモールを精力的に歩き回り、さらにホテルに帰る途中、地下鉄の出口を間違えて、延々と遠回りすることを余儀なくされ、足が棒のようになっているという芦辺さんを、さらに延々と歩かせる鬼マネジャー(笑)。こちらの地下鉄は改札口からすぐ出口につながっているので、出口を間違えたからといって、いったん戻って、ということが出来ない。ここのところは慎重にせねば。
で、着いた寿司屋の箸袋に書いてあった文字。
「三重」で「東京」?
一瞬、本当に大丈夫か、と思ったのだが、まあ、ここは運試しも兼ねて食べてみる。
小俣くんは、頼んだ焼酎の水割りにストローが差してある(しかも2本)のを見て、ちょっと不審そうだったが。
で、これが出てきた寿司。あにはからんや、意外に普通。なんだ、つまらん(笑)。
寿司は確かなモノだったのだけど、アメリカの寿司屋さんだけあって、焼き鳥はあるわ、天ぷら盛り合わせはあるわ。寿司屋というよりは、日本食レストランですな。けっこう堪能してしまった。
芦辺さんだけでなく、私たちも足が疲れていたので、贅沢にもタクシーを使ってホテルに戻る。
さてさて、明日はいよいよエドガー・アラン・ポォの墓参りだ。天気がよいといいのだけどな。
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