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寄生戦闘機ゴブリンの話

 先日の日記にも書きましたが、冷戦時代の飛行機というのは、政治的・戦略的な要因が飛行機に求める性能というものと、実際に技術的に実現可能な性能とのアンバランスさを、いかに創意工夫で実現していくか、というのを具現化したものが多く、私としては興味深い機体がたくさんあるのです。

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 このB-36超大型戦略爆撃機は、第二次大戦中に開発がスタートしたのですが、完成は戦後となった飛行機です。もともとはドイツに向けて渡洋爆撃を行う目的で開発されたようなのですが、核兵器の開発と冷戦の始まりにより、「核兵器を搭載してソビエトまで爆撃飛行を行う」爆撃機となりました。
 ただ、ここで問題となったのが、護衛戦闘機のこと。
 のちに開発された大陸間弾道弾などとは異なり、敵地上空まで進出して爆弾を投下する必要があるわけですから、当然、敵側の戦闘機による迎撃を受けることになります。
 ただ、当時のアメリカでは、この爆撃機に随伴できるほどの航続距離をもつ戦闘機は存在しません。

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 であれば、連れて行けばいいのだ。
 と、誰かが考えたのでしょう。
 このXF85ゴブリンは、B-36の爆弾槽のなかに格納されて敵地上空まで運ばれ、いざ、敵機が現れたらすぐに発進、これと空中戦を行うという、破天荒な「寄生戦闘機」です。
 ただ、同様の発想は昔から存在し、大型飛行船に複葉戦闘機を搭載していた例などもあるようなのですが。

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 B-36の爆弾槽に収めるため、主翼をはじめとする各翼は折りたたみ式となっているほか、そもそも機体のフォルムじたいが「エンジンにコクピットと主翼を付けた」ような特異な形状。30年ほどまえ、日本の模型メーカーが「たまご飛行機」シリーズというプラモデルを出していたのですが、それを地でやっているような感じです。

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 機首には、収容用のフックなども装備されていて、一応は空中戦が終わったら、ふたたび収容できるように設計されていたようなのですが、さて、どこまで現実性があったのか。
 このゴブリン、結局は試作の段階で開発中止となってしまいました。

 今回の取材では、このような妙ちきりんな飛行機をたくさん観ることができました。

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