横山信義さんや三木原慧一さんの書く、戦記シミュレーションは、史実と異なる「架空歴史」を舞台に物語が展開していくのが一般的。でも、地理に関しては現実のものをそのまま使うことが多いようです。まあ、ベーリング海峡が陸続きになった世界、というような「架空地理」小説も面白いとは思うのですが、それはさておき。
現実と同じ地形を舞台にしているということで、校正のチェックには詳しい地図が不可欠となります。
たいていは、アメリカの新聞社TIMEが出している地図帳、「Times Comprehensive Atlas of the World」で用が足りるのですが、「ガダルカナル島の周辺詳細」なんて言われると、ちょっと力不足になります。
そんなとき、重宝するのがアメリカの運輸省が発行している「世界航空地形図」O.N.C.。これは1/100万の統一スケールで、ほぼ世界中を網羅している地図です。あまりポピュラーとは言えない土地でも、ちゃんと地図になっていて重宝しているのですが、実は最近、この地図も「国外への販売が規制される商品リスト」に加わってしまったようす。いつもこの地図を注文しているネット商店に、そんなことが書いてありました。
幸い、いまのところは問題なく入荷しているようなのですが、この先、どうなっていくかは判りません。
考えてみれば、地図というのは一級の戦略資料なんですよね。
日本が戦争に突入したとたん、ラジオで天気予報が流れなくなったという話を聞いたことがありますが、これも天気予報が戦略資料として有効だったからです。
それと似たようなことが21世紀になっても起こっているというのは、ちょっと驚きました。
今のところ、日本は平和な生活を送れていますが、世界ぜんたいを見回してみると、そんな国は本当に数少ないということも判ります。
地図ひとつ注文することで、いろいろと考えてしまった朝でした。
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