先日、友人からのお誘いを受け、「水陸両用バスを使用した「東京湾の水辺活性化」社会実験」に参加してきました。
これは、東京の水辺の魅力を広くアピールして、観光資源としての水辺の利用を考えるというもので、水陸両用バスという新しいアイテムを投入する際の利用者の需要や問題点などを洗い出す目的で実施されているものです。
詳細は、このwebページをご覧になっていただきたいのですが、すでに社会実験の会期(4月8日まで)は、すべて満席となり、受付は終了しているそうです。
そぼふる雨のなか、集合場所の東京タワー下に停まっている変わった形のバス。
これが水陸両用バスとなります。と、いいながらも、実は私、この水陸両用バスに乗るのは2回目となります。栃木県の湯西川温泉で、川治ダムのダム湖をクルーズするツアーに参加したことがあったのです。
そのとき、乗った水陸両用バスの写真がこれ。
あれ?ナンバー、同じじゃない?
実は、この水陸両用バス、ふだんは湯西川温泉で活躍している車体だったのですが、この社会実験に参加するため、急遽、カッティングシートで新たな姿になって、私たちの前に現れたのです。
車内はこんな感じ。
ご覧の通り、窓がありません。当日はけっこう強い雨が降ってました。私は前回の経験から、レインウェアの上下を着込んでいたので、まったく心配なかったのですが、水陸両用バスを商用運行するというのであれば、ここのところはちょっと工夫する余地があるのかも知れません。
港区内の道路を抜けて、水陸両用バスは水道局の施設にあるスロープから海面を目指します。ここの施設の入り口の幅は3メートル。水陸両用バスの幅が2.5メートル。
パナマ運河を通過するような緊張感。船長の腕が冴えます。
そうそう。水陸両用バスの場合、運転をする人は「船長」と呼びます。船長は車と船の両方の免許を持っているとのこと。で、ツアーの最初には、参加者全員で「フネが出るぞぉ!」と叫びますので、これは車じゃなくてフネなんですね。きっと。
下ろしていたマスト燈を上げたり、スクリューを固定していた器具を外したりして、海上走行の準備を整えた水陸両用バスは、スロープに進みます。
このスロープ、けっこう歴史がある感じでした。
で、いよいよドボーン。
とたんに今までとは違う「揺れ」がきます。
この水陸両用バス、陸上での乗り心地はけっして良いとは言えません。震動がすごいです。
でも、海の上に浮かぶと、それとはまったく違う「船の揺れ方」が楽しめます。
横を大きな船が通ると、そこで出来た波はバスの車体を揺らします。
繰り返しますが、これはバスの車窓からの風景です。
しばし、ふだんは観られない場所からの東京湾観光を楽しみました。
と、ここでトラブル発生。
海上走行用の船舶用エンジンが過熱し、オーバーヒートに近い状況になってしまいました。
残念ながら、ここでUターン。予定よりもちょっと短い海上走行でしたが、これはこれで貴重な経験をしました。
海上から陸上に戻るときも、自力でスロープを上がります。タイヤがスロープの路盤を噛んだ瞬間、陸上走行用のエンジンに切り替わり、力強くスロープを駆け上がります。
ふだんは淡水のダム湖で就航している水陸両用バスを、海水面で運用することで、思いもよらないトラブルや難点が見つかっているようです。ですが、それはすべて解決できるレベルのものだと思います。
実際に海面の上を走り、ふだんは見えないアングルから東京の街を観てみるというのは、非常に刺激的な体験でした。
この社会実験を契機に、東京の海辺、水辺の魅力を知ることが出来るツアーが、どんどんと増えていってくれたら、とても嬉しいです。
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