私の大好きな石黒監督作品をご紹介します。
昨日、石黒昇監督がお亡くなりなったことをお伝えしました。
「タイタニア」を映像化していただいたとき、「まだまだこの先、やりたいことがたくさんあるからなあ」と笑っていらっしゃった姿を思い出すと、私たち以上に、ご本人が悔しかったのではないかと思います。
でも、なぜか「悔しい」と険しい顔をされているお顔よりも、「あれ?参ったな」と、苦笑いしているような顔が目に浮かびます。
石黒監督を見送るのは辛く寂しいことですが、石黒監督にお会いして、お話しを聞くことで得られた喜びは、それ以上のものがあります。残されたものの一人として、こちらはこちらで精一杯頑張っていくしかないのでしょう。
石黒監督といえば、「銀河英雄伝説」「宇宙戦艦ヤマト」「超時空要塞マクロス」「メガゾーン23」など、SF色の強い作品が有名ですが、私は2008年に制作された「パッテンライ!! 南の島の水ものがたり」を紹介したいと思います。
これは、日本統治時代の台湾の嘉南平原(台湾南西部)を舞台に、日本の土木技師、八田與一の半生を描いたアニメです。嘉南平原は雨量も少なく灌漑設備もなかったことから、不毛の大地と呼ばれていたのですが、ここに派遣された八田が、大規模な灌漑設備を作る計画をたてます。その計画に懐疑的な地元の農民は、当初は八田を敵視しますが、八田の誠実な行動と誠意ある言動は農民を動かしていきます。
石黒監督は、この作品の公開前に、私に向かって「こんな日本人がいたというのは、わくわくするよね。悪い日本人もいただろうけど、いまだに現地の人から神様のように慕われている日本人もいるんだ。こういう人たちをもっと紹介していきたいよね」と仰っていました。
この作品は、台湾と中国と日本の複雑な関係ゆえ、あまり大々的に宣伝をされることもなく、知る人ぞ知る作品になっておりますが、石黒監督の大きな功績のひとつとして、改めて皆さんに知って頂きたいと思います。
このアニメ、2010年5月にDVD化され、制作委員会である北國新聞で直販されたということです。現在は入手できるか不明ですが、ご興味のある方は、ぜひ北國新聞に問い合わせてみてください。
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